$ play ep28 — だい28かい の授業
#28 【Season 2完走】あなたはもう、なぜ動くか説明できる?

まず結論
Season 2を聴き終えたみなさんは、いま、何ができるようになっているのか。ひとことで言うと——
「Claude Codeくんが、なぜそう動くのかを、自分の言葉で説明できる人」になりました。
「なんで貼り紙に書いたルールを守ってくれないの?」「なんで長く話していると、だんだん返事が雑になってくるの?」。Season 1のときは「そういうものなのかな」で済ませていた疑問に、今は理由から答えられます。
そしてもうひとつの結論。みなさんはもう、「設定の地図」と「頭の中の地図」の、2枚の地図を持っています。
- 1枚目・設定の地図 — Claude Codeくんのホワイトボードに、何を、いつ読ませるかの地図
- 2枚目・頭の中の地図 — 読ませたものを、Claude Codeくんがどう扱っているかの地図
この2枚があれば、新しい機能が出てきても「これは、どっちの地図の、どのあたりに入るものかな?」と、置き場所の見当がつけられます。
完走した人が抱きがちな3つの誤解
第13回と同じ特別編です。ここまで聴いてきたみなさんが、自分自身に対して抱きがちな誤解を3つほどきます。
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「設定の話をいろいろ聴いたけど、結局まだ貼り紙1枚しか使ってないし……」 — それで大丈夫です。第21回の「まず貼り紙に書いて、貼り紙にお願いが増えて、困りごとが見えてきたら引っ越す」は、「最初から全部の道具を使ってください」という話ではなく、「困ったときに、どこに引っ越せばいいかを知っておきましょう」という話でした。「絶対に消してほしくないファイルが出てきたら拒否リスト」「同じ手順の指示を2回打ったらスキルにしてもいい」と、困りごとが起きた瞬間に引っ越し先が分かっている。それは、Season 1の頃の「貼り紙しか知らない」状態とはまったく別の状態です。今は使っていない道具も、地図にはちゃんと載っている。それで十分です
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「Season 2、用語が多すぎて、正直ほとんど覚えてないんだけど……」 — 当たり前です。権限設定、フック、スキル、パス指定ルール、プランモード、探索係、圧縮、枝分かれ、グレップ、グロブ……と、この14回で新しい名前が30個以上出てきました。台本なしで全部の名前を言うのは、話している側でも途中で詰まると思います。本当に覚えておいてほしいのは、次の2つだけです
- 第21回の置き場所を決める3つの質問 — 守ってくれなきゃ困るのか、守ってくれたら嬉しいのか/いつも守ってほしいのか、決まった場面だけなのか/どこで守ってほしいのか
- 第22回のホワイトボードの4つの現象 — ホワイトボードが埋まってくると、正確さが落ちる・道具の出力が場所を食う・真ん中が抜ける・要約で数字が溶ける
この2つを覚えていれば、ほかの用語は「3つの質問でいうと、仕組みで守るほうのものだな」「4つの現象の対策のものだな」と、引き出しから出せます。名前のほうは、下の一覧表で確かめてください
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「Season 2、けっこう難しかったな……。Season 3はもっと難しいんじゃ……」 — Season 3は、むしろSeason 1に近い話に戻ります。テーマは「頼み方を設計する」。第5回の「目的・材料・完成形」の3点セットの、その先の話です。「どう頼めば、思った形で、間違いなく返ってくるか」という言葉の話なので、仕組みの話だったSeason 2よりも、普段の感覚で聴ける回が多いと思います
そして、これは毎シーズンお伝えしていることですが、この番組の配信のペースには、追いつけなくても大丈夫です。ただ、ひとつだけお願い。理解のほうは飛ばさないでください。順番に聴いていけば、いつから聴き始めても同じ階段を登れるようになっています。自分のペースで大丈夫です。
ステップ1: 前半戦。設定の種明かし(第14回〜第21回)
前半戦は、第14回で広げた「設定の地図」の箱を、1個ずつ開けていく階段でした。
- 第14回 設定の全体地図 — 横が「お願い・仕組み・手順書」の3種類、縦が「自分の作業全体・この作業だけ・今回の会話だけ」の3階建てで、全部で9マスの地図。「守ってくれたら嬉しいものは貼り紙で、絶対に守ってくれなきゃ困るものは仕組みで」という、Season 2でいちばん大事な線引きもこの回で出てきました
- 第15回 CLAUDE.mdの置き場所と分割 — 貼り紙の置き場所は4か所あって、全部足し算で読まれる。フォルダと一緒に同僚のところまで届くのは2階の作業フォルダの貼り紙だけで、自分だけの事情は1階か自分専用メモに書く
- 第16回 パス指定ルール — 貼り紙は、場所ごとだけでなくファイルの種類別にも貼れる。別冊の冒頭に条件を書いておけば、そのファイルを触るときだけ読まれるので、ホワイトボードを軽く保てる
- 第17回 権限設定とモード — 「これやっていい?」の線引きは、AIの性格ではなく設定の問題。許可・確認・拒否の3つのリストと、任せ方のダイヤル(6段階のモード)で決まる。拒否リストはどのモードでも止まり、おまかせモードの見張り役は、危ないかどうかは見るけれど正しいかどうかは見ない
- 第18回 スラッシュコマンドとスキル — 手順書には、自分で呼ぶスラッシュコマンドと、冒頭の説明文を見てClaude Codeくんが自分でも開くスキルの2種類がある。中身は同じ手順書で、違いは誰が開くか。いつも読まれるのは名前と説明文だけ
- 第19回 スキルの中身の設定 — スキルの冒頭の欄には「別室で作業」「使う道具」「記入例」の3つが書ける。部下には、手順書が最初からは渡らない
- 第20回 フック入門 — 決まった場面が来たら、決まった処理を必ず走らせる仕組み。貼り紙はお願い止まりで確率的、フックは機械なので必ず走る。使いどころは、実行前に止める・実行後に整える・終わりを認めない、の3つ
- 第21回 結局どれに書けばいい? — ここまでを全部まとめたのが、置き場所を決める3つの質問。守ってくれなきゃ困るものは仕組みで守るほうに、守ってくれたら嬉しいものは言葉で伝えるほうに置き、どこで守ってほしいかで何階に置くかを決める。迷ったら、まず貼り紙に書いて、困りごとが見えてきたら引っ越す
こうして並べると、この8回はバラバラの機能の紹介ではなく、「置き場所を決める」という1つの技術を組み立てていたことが分かります。第14回で地図を広げて、第15回から第20回で箱の中身を1個ずつ確かめて、第21回で全部を「3つの質問」という仕分け方にまとめました。第21回の3つの質問さえ手元にあれば、前半戦の内容は全部そこから引き出せます。
ステップ2: 後半戦。頭の中と、手の中身(第22回〜第27回)
後半戦は、設定の話から少し離れて、Claude Codeくんの「頭の中」と「手の中身」に入っていく階段でした。
- 第22回 長い会話が重くなるのは、なぜ? — Claude Codeくんは返事をする前に、毎回ホワイトボード全体を読み直している。ホワイトボードが埋まってくると、正確さが落ちて、道具の出力が場所を食って、真ん中が抜けて、要約で数字が溶ける。金額や日付のような大事な事実は、会話とは別の事実メモに書いておく
- 第23回 再開・フォーク・メモファイル — 会話をまたいで覚えていてもらう方法は、その場で軽くする・あとで続ける・枝分かれ・ホワイトボードの外に残す、の4段階。圧縮するときは残してほしいものを一言添えて、再開するなら会話に名前をつけておいて、前の会話が古くなっていたら要点のまとめを持って新しく始める
- 第24回 モデルの使い分け — 中で動いているAIには、返事が速い子・速さと賢さのバランスがいい子・じっくり考える子がいて、賢さと、速さ・コストはトレードオフ。作業の難しさに合わせて選んで、全部を一番賢い子に頼まない
- 第25回 プランモード — 手を動かさずに、読んで調べて計画を出す、相談だけのモード。大きい変更・正解が複数ある・設計の判断が要る・たくさんのファイルを触る作業は相談から入り、計画はちゃんと読んで、計画の段階で直す
- 第26回 反復リファインメント — 一発で決まらないのは普通。言葉で伝わらないなら見本を3つくらい見せる。作ってもらう前に答え合わせの条件を書いておいて、外れたところだけ直してもらう。直したいところ同士が絡んでいるならまとめて、絡んでいないなら1個ずつ渡す
- 第27回 AIが使っている「手」の道具箱 — Claude Codeくんの手は、中身で探す・名前で探す・読む・書く・直す・実行する、の6つの道具。探してから読んでいるので、頼むときも「まず探して」と伝える。直す道具は、目印が1か所に決まらないと止まる
前半と後半は、1つの話だった
Season 2の前半と後半は、実は1つの話です。第6回のホワイトボードで言うと、前半は「ホワイトボードの入口」、後半は「ホワイトボードの中身」の話でした。
| 地図 | 中身 |
|---|---|
| 1枚目・設定の地図ホワイトボードに、何を、いつ読ませるか(前半戦) | |
| 貼り紙 | 毎回読ませる |
| 条件つきの別冊 | そのファイルを触るときだけ読ませる |
| スキル | いつもは名前と説明文だけを読ませておく |
| 権限設定・フック | 読ませるのではなく、機械で決まりを守らせる |
| 2枚目・頭の中の地図読ませたものを、どう扱っているか(後半戦) | |
| ホワイトボード | 毎回全部を読み直していて、埋まってくると数字が溶けたりする |
| 会話をまたぐ4段階 | だから、会話をまたいで軽くする方法がある |
| モデル | 読ませたものを扱うAIにも、返事が速い子・じっくり考える子のような種類がある |
| プランモード | 手を動かす前に、相談だけすることもできる |
| 6つの道具 | 実際に手を動かすときは、6つの道具で探して、読んで、直している |
Season 2の用語を、9マスの地図に当てはめた一覧表
本編でお伝えした一覧表です。「あの名前、どの箱だっけ?」というときにのぞいてください。かっこの中は、その用語が出てきた回です。
CLAUDE.md・条件つきの別冊(パス指定ルール・第16回)
許可・確認・拒否の3つのリスト(第17回)・フック(第20回)
スラッシュコマンド・スキル(第18回)・スキルの冒頭の欄(第19回)
小部屋の貼り紙・条件つきの別冊(第16回)
権限設定の3つのリスト(第17回)・フック(第20回)
スラッシュコマンド・スキル(第18回)
プランモード(第25回)
9マスの地図の外、2枚目の「頭の中の地図」に入る用語はこちらです。
| 用語 | 何の話か(出てきた回) |
|---|---|
| ホワイトボードの中身第22回・第23回 | |
| 4つの現象 | 正確さが落ちる・道具の出力が場所を食う・真ん中が抜ける・要約で数字が溶ける(第22回) |
| 事実メモ | 金額や日付のような大事な事実を、会話とは別に書いておくメモ(第22回) |
| 圧縮・再開・枝分かれ(フォーク)・メモファイル | 会話をまたいで覚えていてもらう4段階(第23回) |
| 読ませたものを扱うAI第24回・第25回 | |
| モデル | 返事が速い子・速さと賢さのバランスがいい子・じっくり考える子(第24回) |
| 探索係・計画係 | プランモードで調べものや計画を手伝う、最初から用意されている部下(第25回) |
| 頼み方と手の中身第26回・第27回 | |
| 見本・答え合わせの条件 | 一発で決まらないときの直し方(第26回) |
| 6つの道具 | 中身で探す(グレップ)・名前で探す(グロブ)・読む・書く・直す・実行する(第27回) |
ステップ3: 「説明できますか?」チェックリスト
心の中で「はい」か「まあ、そうかな」で答えてみてください。第13回のチェックリストは「できますか?」でしたが、今回は全部「説明できますか?」です。
- 「CLAUDE.mdに書いたのに守ってくれない」と言っている人に、理由を説明できますか? — 「別のフォルダの貼り紙に書いていて、今の作業フォルダでは読まれていないか、貼り紙はお願いだから、たまに抜けたかのどっちかだよ」と言えたら、はい
- 「お願い」と「仕組み」の違いを、一言で説明できますか? — お願いは、守ってくれたら嬉しいもの。仕組みは、絶対に守ってくれなきゃ困るもの
- スラッシュコマンドとスキルの違いを、説明できますか? — 「中身は同じ手順書で、違いは誰が開くか」が出てくれば、はい
- 「必ず確認して」と貼り紙に書いても、たまに抜ける理由を説明できますか? — 貼り紙はお願いで、確率的だから。必ずやらせたいなら、フック
- 長い会話でAIが雑になる理由を、「疲れた」以外の言葉で説明できますか? — 返事をする前に毎回ホワイトボード全体を読み直しているから、ホワイトボードが埋まってくると、大事なことを拾いそこねやすくなる
- 昨日の会話を再開するか、新しく会話を始めるか、判断の基準を説明できますか? — 前の会話の中身がまだ正しいなら再開。古くなっていたら、要点のまとめを持って新しく会話を始める
- 大きい作業を頼む前に何をするか、説明できますか? — プランモードで計画を出してもらって、ちゃんと読んで、計画の段階で直してから承認する
全部に「はい」と言えなくても大丈夫です。第14回を聴く前の自分に、5番目の質問をしてみてください。「え、AIって疲れるんじゃないの?」となっていたはずです。それが今は「あ、ホワイトボードの話ね」と、質問の意図から分かるようになっています。
Season 2で手に入れたのは「理由から話せる」こと
このリストは、7個全部が「できますか?」ではなく「説明できますか?」でした。Season 1で手に入れたのが「AIに仕事を任せて、確認して、やり直せる」という基礎体力だとしたら、Season 2で手に入れたのは、**「なぜそうなるのかを、理由から話せる」**という状態です。
理由から話せると、いいことが2つあります。
- 初めて起きたトラブルでも、「たぶん、この仕組みのせいだな」と当たりがつけられる
- 周りの人に教えられる。「別のフォルダで作業したら、いつものルールを守ってくれないんだよね」と言っている同僚に、「それ、貼り紙の置き場所の問題だよ」と言える
で、自分の作業だとどう使う?
Season 2で身につけたことは、Claude Codeくんが思い通りに動かないときに、いちばん役に立ちます。困りごとから、開ける引き出しが決まっています。
| 困りごと | 開ける引き出し |
|---|---|
| 貼り紙に書いたのに守ってくれない | その貼り紙は、どの階に貼ってあるかを確かめる(第15回の置き場所の話) |
| 必ずやってほしいのに、たまに抜ける | 貼り紙ではなく、フックの出番かもしれない(第20回) |
| 長く作業していたら、数字がおかしくなってきた | ホワイトボードが埋まってきているサイン。大事な数字を事実メモに書き出すか、要点のまとめを持って新しい会話を始める(第22回・第23回) |
どの引き出しか分からなくても、「これ、どの設定が関係してると思う?」とClaude Codeくんに聞けば、一緒に探してくれます。逆に、今うまく動いているものは、無理に設定をいじらなくて大丈夫です。
最近「Claude Codeくんは、なんでこう動くんだろう?」と思った場面を、1つ思い浮かべてみてください。それが、Season 2の引き出しを開けてみる、いちばんの候補です。
今日の持ち帰り
「Season 2で、みなさんは『なぜ動くかを説明できる人』になった。設定の地図と、頭の中の地図、2枚の地図を持っていて、分からなくなったら、どの回の引き出しを開ければいいかが分かっている。」
周りに「Claude Codeって、なんでこう動くのか、よく分かんないんだよね」という人がいたら、こう言ってあげてください。「設定は『何を読ませるか』で、頭の中は『読ませたものをどう扱うか』っていう、2枚の地図があるんだよ。その2枚で、だいたいのことは説明がつくよ。」みなさんがこんなふうに誰かに説明できるようになったら、Season 2は大成功です。
次回からSeason 3・表現編
次回からは、Season 3・表現編「頼み方を設計する」が始まります。合言葉は「説明できる人から、伝えられる人へ」。第5回の「目的・材料・完成形」の3点セットの、その先の話です。
最初のテーマ、第29回は「「慎重に見て」が効かないのはなぜ?— 基準は言葉で決める」。Claude Codeくんに「慎重にチェックして」と頼んでも、実は思ったほど効果がありません。じゃあ、何て頼めば効果があるのか。Season 3の入口の話から始めます。
Season 3で「これを扱ってほしい」というリクエストは、今がいちばんの送りどきです。Season 2の感想とあわせて、質問箱からぜひお願いします。