$ play ep14 — だい14かい の授業
#14 設定って、CLAUDE.md以外にもあるの?— 設定の全体地図

まず結論
「CLAUDE.md以外にも設定ってあるの?」の答えは——あります。しかも、地図にすると9マスです。
Claude Codeの設定の地図は、縦と横の2つの軸でできています。
**横の軸が「何を書くか」**で、これは3種類。今回はこの3種類を「箱」と呼びます。
- 「お願い」の箱 — AIにお願いや事情を言葉で伝えておく設定。第7回の貼り紙、CLAUDE.mdがここ
- 「仕組み」の箱 — お願いとは別に、必ずそうなるように仕組みで縛っておく設定
- 「手順書」の箱 — よくやる作業に名前をつけて、呼び出せるようにしておく設定。第11回のスラッシュコマンドがここ
**縦の軸が「どこまで効くか」**で、これは3階建て。上に行くほど範囲が狭くなります。
- 1階「自分の作業全体」 — どのフォルダで作業していても効く
- 2階「この作業だけ」 — 特定のフォルダにいるときだけ効く
- 3階「今回の会話だけ」 — ファイルではなく、口で言う(プロンプトで伝える)だけ。会話が終われば消える
そして、置き場所に迷ったときの判定は、質問が2つだけです。横は**「それ、お願いだけで済む? それとも、絶対に守らせたい?」、縦は「それ、どこで作業してるときも守ってほしい? このフォルダだけ? それとも、今の会話だけ?」**。以上で、今回の8割の説明は終わりです。笑
よくある3つの誤解
- 「CLAUDE.md 1枚で足りてるのに、他にも覚えるの?」 — めちゃくちゃ健全な感覚です。でも、その貼り紙に「大事なファイルは消さないで」と書いていませんか? 貼り紙は、どこまでいっても「お願い止まり」。Claude Codeくんは真面目なので、ほぼ毎回ちゃんと読んで守ってくれるんですが、あくまで「ほぼ守ってくれてる状態」です。ホワイトボードの情報量がパンパンになったときや、作業が長くなったときに、100回に1回くらい、貼り紙の内容を見落としたまま進んでしまうことが起こり得ます。「文章はですます調で」が100回に1回抜けても、そこまでダメージはありません。でも「消す前に確認してね」が100回に1回抜けたら困りますよね。だからClaude Codeには、「お願い」とは別に「仕組みとして必ずそうさせる」設定が用意されています。貼り紙1枚で足りていると思っている方は、この箱の存在を知らないだけ、ということが多いんです。ここを知るのが、今回の地図の一番のメリットです。
- 「設定の種類が増えたら、管理が大変になるんでしょ?」 — 実際は逆です。1枚のメモに全部書こうとすると、「文章はですます調で」のようないつでも効いてほしいことと、「この案件の締め切りは月末」のようなその仕事限定の内容と、「売上の集計はこの手順で」のようなたまにしか使わない手順書が、1枚にゴチャッと同居して、どんどん長くなります。第7回でお話ししたとおり、長い貼り紙は人間もAIも結局ちゃんと読みません。設定の種類が分かれると、特定の作業でしか使わないものはそのときしか読まれなくなり、1枚1枚が短くなって、ホワイトボードの情報量がパンパンになるのを防げて、それぞれが効いてほしいときに効くようになります。設定の種類を増やすのは「情報を増やす」話ではなく、「情報を適切に分けて管理する」話。服が増えても、タンスの引き出しで分けていれば着たい服を探しやすくなる、あの感覚です。
- 「設定ファイルって、結局自分で編集しないといけないんでしょ?」 — Season 1から聴いてくださっている方なら、もう答えが分かりますね。笑 これも全部、Claude Codeくん本人に頼めばいい話です。「このルール、どのフォルダでも効くようにしておいて」「この作業、スラッシュコマンドにしておいて」「大事なファイルを消そうとしたら、必ず止まる設定にしておいて」。こう伝えれば、Claude Codeくんが正しい場所に、正しい書き方で置いてくれます。家族に「牛乳買ってきて」と頼むとき、どの店のどの棚の何段目か、までは言わないのと同じです。設定の住所を知っているのはClaude Codeくんのほう。みなさんが覚えるのは「これは仕組みの設定で、自分の作業全体に効かせたい」という、どの箱の、どの階かという考え方と、それぞれの機能の名前だけです。名前を知っていると、頼むときに一言で通じますし、Claude Codeくんの説明を聞いたときに「あ、あそこか」と分かります。住所は覚えなくていいけど、名前と考え方は持って帰ってください。
ステップ1: 横の軸。設定の3種類(何を書くか)
会社の中の「決まりごと」に置き換えると、だいたい3種類に分かれています。張り紙(「会議室は使ったら片付けてください」。守るかどうかは読んだ人の良心に任されている)、カードキー(サーバールームには権限のある人のカードでないと、そもそも入れない。お願いではなく仕組み)、マニュアル(「月末の締め作業はこの手順です」。毎日は使わないが、その作業のときには必ず開く)。Claude Codeの設定も、この3種類でできています。
本編では名前と役割を1回ずつ言い切っただけなので、ここに表でまとめておきます。「一気に6個も覚えられるか〜!」という方は、今は「3つの箱がある」ことだけ掴んでいただければ大丈夫です。
| 入っている機能 | 何をするものか |
|---|---|
| 「お願い」の箱会社で言うと:張り紙 | |
| CLAUDE.md | 「私はこういう人間です」「こういう説明の仕方がいいです」「このフォルダはこういう仕事です」という事情やお願いを、言葉で書いておくファイル(第7回) |
| ルールファイルrules | CLAUDE.mdが長くなってきたときの「別冊」。「文章の書き方はこのファイル」「お金の扱いはこのファイル」と、テーマごとに貼り紙を分けられる |
| 「仕組み」の箱会社で言うと:カードキー | |
| 権限設定permissions | 第8回の「これやっていいですか?」の「聞く・聞かない」をそもそも決めている設定。「ファイルを消す操作は必ず聞いて」「このフォルダは読むだけで編集しないで」を、お願いではなく決まりとして置く。ここで禁止した操作は、Claude Codeくんがやりたくてもできない |
| フックhooks | 「決まった場面で、決まった処理を必ず走らせる」仕組み。「ファイルを書き換えたあとは必ず見た目を整えるチェックを走らせる」「危ない操作をしようとした瞬間に止めて、人間の確認に回す」など。その場面が来たら、Claude Codeくんの気分に関係なく機械的に実行される |
| 「手順書」の箱会社で言うと:マニュアル | |
| スラッシュコマンド | よくするお願いに名前をつけて「/うりあげ」のように一言で呼び出す手順書(第11回)。みなさんが「これ使って」と呼んだときに発動する |
| スキルskills | スラッシュコマンドの兄弟。違いは、みなさんが呼ばなくても、Claude Codeくんが「あ、今この手順書の出番だな」と自分で判断して開くこと。「請求書を作って」と頼んだときに「請求書の作り方」というスキルがあれば、名前を呼ばなくても勝手に参照してくれる。気の利く新入社員さんが、細かく指示される前に該当するマニュアルを開いている感じ |
3つの箱には、それぞれ性格の違いがあります。
- 「お願い」の箱は、名前のとおり、あくまでお願い。基本的には守ってくれますが、守ることを保証するものではない
- 「仕組み」の箱は、貼り紙と違って、100回やったら100回そうなる。第8回の「消える操作」と「外に出る操作」のように、1回でも抜けたら困るルールは、貼り紙ではなくこちらに入れる。ここが今回の地図で一番大事な線引きです。「守ってくれたら嬉しいな」は貼り紙で、「絶対守ってくれなきゃ困る」は仕組み
- 「手順書」の箱は、必要なときだけ開かれる。貼り紙は毎回の会話で必ず読まれるので、書けば書くほどホワイトボードを圧迫しますが、手順書はその作業のときにしか開かれない。だから長い手順は、貼り紙ではなくスラッシュコマンドやスキルに逃がす
ちなみに、第12回のアタッチメント(MCP)は「決まりごと」ではなく「手を増やす」ほうの話なので、今回の地図には入れていません。どのアタッチメントを差すかという設定の置き場所は、Season 4・接続編で丸ごと扱います。
ステップ2: 縦の軸。3階建て(どこまで効くか)
横の3種類は、それぞれ「どの範囲まで効果を持たせるか」を選べます。それがこの3階建てです。
- 1階「自分の作業全体」 — みなさんがClaude Codeを使うときに、どこで何をしていても効く範囲。「専門用語なしで、やさしく説明して」のように、作業の内容に関係なく、ずっとそうしてほしいことを置く階層。みなさんが「どういう人か」に紐づく設定
- 2階「この作業だけ」 — 特定のフォルダで作業しているときだけ効く範囲。「このフォルダは町内会の会計資料で、2026年度は4月から翌3月のこと」「金額は必ずカンマ区切りで、円マークをつけて」のように、そのフォルダだけの事情を置く階層。他の仕事には持ち込まなくていいルール
- 3階「今回の会話だけ」 — ファイルではなく、口で言う(プロンプトだけで伝える)やつ。「今日は急ぎなので、説明は短めでお願い」「今回だけは、一個ずつ確認しながらやって」のように、一番身軽で、その会話が終われば消える指示
会社の例えの続きで言うと、1階が会社全体の就業規則、2階が部署ごとのローカルルール、3階が今日の朝礼で言われた一言。働いている人はこの3つを暗記しているわけではなく、「会社としてはこういう方針で、うちの部署ではこうしていて、今日はこう言われたな」くらいの感覚で自然に使い分けていますよね。Claude Codeくんも、同じ感覚で3つの階層を見ています。
食い違ったときの決まりは2つだけ
- 会話で言ったことが、一番強い。 1階に「説明は短めで」と書いてあっても、今回の会話で「今日は詳しく説明して」と言えば、その会話の間の説明は詳しくなり、会話が終わればまた「短めの説明」に戻ります。飲食店の店長が「今日は近くでお祭りがあって帰りのお客さんが多そうだから、仕込みの量を多くしといて」と言ったら、いつもの仕込みのルールとは違っても、その指示に従う、あの感覚です
- 1階と2階のルールは、足し算。 2階の部署別の貼り紙があるからといって、1階の全体の貼り紙が無視されるわけではなく、両方読まれます。1階の「やさしく説明して」と2階の「金額はカンマ区切りで」が同時に効いている状態。だから2階の貼り紙に書くのは「1階に足したいこと」だけでよくて、1階の内容をコピーしてくる必要はありません
貼り紙同士は足し算されて、会話はその2つを上書きする、ということです。
正直にお伝えしておくと、この建物には実はもう1階層あります。会社でClaude Codeを導入しているときに、管理者の人が「全社員にこれだけは守らせる」という設定を置く階です。個人で使っている分にはまず出てこないので、今回は「どうやら屋上にもう1個、貼り紙があるらしい」くらいの認識で大丈夫。その話も含めて、貼り紙の階層の詳しい話は次回でやります。
「Claude Codeが別人になった」話
これは実際にあった話です。CLAUDE.mdに「専門用語なしで説明して」と書いて快適に使っていた方が、新しい案件用のフォルダを作って作業を始めたら、Claude Codeくんが急に専門用語まじりで話し始めた。「急にClaude Codeくんが別人になりました〜!」と相談を受けたんですが、笑 もちろん別人になったわけではありません。「専門用語なしで」というルールが、2階の別のフォルダに置いてあっただけ。新しいフォルダにはまだ貼り紙が1枚もないので、Claude Codeくんが素の状態で話していた、と。そのルールを1階に移動してもらったら、どのフォルダに行ってもちゃんと専門用語なしで話してくれるようになりました。「別人になった」問題の原因は、Claude Codeくんの性格が変わったのではなく、ルールの置き場所が違っていただけだったんです。
設定の全体地図(9マス)
この3階建ては、CLAUDE.mdだけの話ではなく、お願い・仕組み・手順書の3つの箱のどれにもあります。なので全体の地図は、縦3×横3の9マスの表になります。「何を書くか」で横を選んで、「どこまで効くか」で縦を選ぶ。
CLAUDE.md・ルールファイル
権限設定・フック
スラッシュコマンド・スキル
各機能のファイルの置き場所(本編では読まなかった分)
本編で「記事版に載せます」とお伝えした置き場所の表です。覚えなくて大丈夫。「このルール、自分の作業全体に効くようにしておいて」とClaude Codeくんに頼めば、正しいファイルを自分で開いて書いてくれます。Claude Codeくんが「〜に書きました」と説明してくれたときに「あ、あそこか」と分かるための地図として置いておきます。
| 機能 | 1階(自分の作業全体) | 2階(この作業だけ) |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | ホームフォルダの~/.claude/CLAUDE.md | 作業フォルダ直下のCLAUDE.md |
| ルールファイル | この中の .md ファイル~/.claude/rules/ | 作業フォルダの、この中の .md ファイル.claude/rules/ |
| 権限設定 | ~/.claude/ | 作業フォルダの.claude/自分のパソコンだけの設定は .claude/ |
| フック | 権限設定と同じファイルの中~/.claude/ | 権限設定と同じファイルの中.claude/ |
| スラッシュコマンド | この中の .md ファイル~/.claude/commands/ | 作業フォルダの、この中の .md ファイル.claude/commands/ |
| スキル | ~/.claude/skills/ | 作業フォルダの.claude/skills/ |
~/ は「自分のホームフォルダ」、.claude は各フォルダの中にある設定用の隠しフォルダのことです。3階は会話そのものなので、ファイルはありません。置き場所や書き方は今後変わることもあるので、正確なところは公式ドキュメント(CLAUDE.mdとメモリ・設定と権限・フック・スラッシュコマンド・スキル)をご覧ください。
ステップ3: 地図の使い方。2つの質問
新しく「Claude Codeにこうしてほしいな」と思いついたときに、自分自身に質問を2つすれば、9マスのどこに入れるかが決まります。
- 「それ、お願いだけで済む? それとも、絶対に守らせたい? もしくは、手順が長い?」 — お願いで済むなら「お願い」の箱、100回に1回抜けたら困るなら「仕組み」の箱、「お願いなんだけど手順が長い」なら「手順書」の箱。これで横の軸が決まる
- 「それ、どこで作業してるときでも守ってほしい? このフォルダだけ? それとも、今の会話だけ?」 — どこで作業していても守ってほしいなら1階、このフォルダにいるときだけなら2階、今の会話だけなら3階、つまり口で言うだけ。これで縦の軸が決まる
それでも迷ったら、横は「お願い」の箱(CLAUDE.md)、縦は「2階」(そのフォルダだけ) に置いておいてください。そこが一番身軽で、あとから引っ越しさせやすいからです。そして、第7回の「2回言ったら書く」の応用で、合言葉を2つ。
- 2つの異なる作業フォルダで同じことをClaude Codeに指示したら、1階(自分の作業全体)に上げる
- 貼り紙に書いたのに、そのルールが守られずに困ったことがあったら、仕組みの側に移す
この地図は、Season 2でこう使われます
Season 2の前半は、今回の9マスを横の軸、「何を書くか」の3種類で分けて、順番に解説していきます。「お願い」の箱では貼り紙の置き場所とルールファイルの話、「仕組み」の箱では権限設定(第8回のタネ明かし)とフックの話、「手順書」の箱ではスラッシュコマンドとスキルの話。それらを一通り歩いたあとに、この地図を丸ごと使って「結局どれに書けばいいの?」という使い分けの総まとめをやります。
そこから先は地図の外側、Claude Codeくんの「頭の中」と「手」の話。第6回のホワイトボードのタネ明かし、Claude Codeくんの中で動いているAIの脳(モデル)の使い分け、作業の前に相談だけする方法、Claude Codeくんが使っている「手」の道具箱と続いて、最後にSeason 2の総復習をやります。今回は、そのSeason 2全体の目次を1枚の地図として先に渡した回、ということです。「今どこの話をしてるんだっけ?」となったら、またこの回を聴いてみてください。
「お願い」と「仕組み」の区別は、人間の組織でも同じ
守られないルールがある組織は、だいたい、守らせたいことを張り紙だけで守らせようとしています。「機密書類は持ち出し禁止」という張り紙を貼って、持ち出されるたびに「張り紙、読んでないの!?」と怒る、みたいな。笑 本当に持ち出されたら困るのであれば、張り紙ではなく鍵のかかる棚に入れますよね。逆に、鍵をかけるほどでもない個人のブランケットの管理まで、部屋を移動するたびに上司の承認が必要、としてしまうと、みんな疲れてしまいます。
ルールがうまく回っている組織は、「守ってくれたら嬉しいこと」は張り紙で、「絶対に守らせたいこと」は仕組みにする、という使い分けがちゃんとできています。ルールが守られないのは、守る側の意識が低いからではなく、「張り紙にするか、仕組みにするか」の選び方を間違えていただけ、ということです。
家庭でも同じで、「靴は揃えてね」くらいなら張り紙や口頭で十分ですが、「薬は子どもの手の届かない棚に置く」は、張り紙ではなく棚の高さという仕組みで守りますよね。AIの設定を整理していたら、気づかないうちに家や職場のルールの整理まで上手くなっていたら、一石二鳥かもしれないですね。笑
今日の持ち帰り
「Claude Codeの設定は、『何を書くか』が3種類、『どこまで効くか』が3階建て。守ってほしいことは貼り紙に、守らせたいことは仕組みに、そして、どこまで効かせるかで階層を決める。」
周りに「AIの設定って、CLAUDE.md以外にもあるの?」という人がいたら、こう言ってあげてください。「あるよ〜。お願いと、仕組みと、手順書の3種類。それぞれ、自分の作業全体に効かせるか、この作業だけにするか、選べるんだよ〜。」
次回は、今回の「Claude Codeが別人になった」話の原因だった、貼り紙の置き場所をぜんぶ並べます。自分の作業全体の貼り紙と、この作業だけの貼り紙と、貼り紙が長くなってきたときの「別冊」の作り方。それと、「今、どの貼り紙が読まれてるのか」を確かめる方法。今回の地図の「お願い」の箱の中を歩く回です。「ここがわからない」「このテーマを扱ってほしい」は質問箱からお願いします。