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#19 スキルに「別室で作業して」と頼めるって本当?— スキルの中身の設定

2026.09.30 | 27:21

#19 エピソードアート
きょうの持ち帰りスキルの冒頭の欄には、「別室で作業」「使う道具」「記入例」の3つが書ける。別室は、部下がまっさらな部屋で作業して結果だけ持ち帰る仕組みで、結果だけ欲しい作業に向いてる。部下には手順書が最初からは渡らないから、確実に使わせたい手順書は部下の設定の冒頭の欄で持たせる。

まず結論

スキルの冒頭の欄には、前回の「名前」「説明文」「手動だけ・自動だけのスイッチ」の他に、大きく3つの指定を書けます。

1つ目は**「別室で作業して」。この回では、みなさんとClaude Codeくんがいつも話している会話を「ホワイトボードが1枚置いてある部屋」と考えます。「別室」は、別のホワイトボードが置いてあるもう1つの部屋です。この指定をつけると、その手順書の作業はClaude Codeくん本人ではなく部下(サブエージェント)**が、別の部屋のまっさらなホワイトボードで行い、結果の要約だけを持って帰ってきます。今までの会話の中身は別室に持っていかないので、途中経過が長くなる調べ物をさせても、みなさんのホワイトボードは埋まりません。

2つ目は**「使う道具の指定」**。「この作業中は、この道具は聞かずに使っていい」「この道具は使わないで」を、その手順書の作業の間だけ効果がある形で指定できます。

3つ目は**「記入例」**。手順書を名前で呼び出すとき、名前のあとに何を書き足せばいいかを、画面にヒントとして出しておけます。

そしてもう1つ大事なのが、部下には、みなさんの手順書が最初からは渡らないこと。部下は作業の途中で自分で気づいて開くこともありますが、気づかないこともあります。確実に使ってほしい手順書は、部下の設定の冒頭の欄に「この手順書を持っていって」と書いておきます。

よくある3つの誤解

  1. 「別室で作業って、Claude Codeくんが分身して2人になるの?」 — 分身というより、今までの会話を何も知らない新人さんを1人呼んで、手順書を渡して、別の部屋で作業してもらう感じです。新人さんが知っているのは、手順書に書いてあることと、「これをやって」という依頼の内容だけ。作業が終わったら結果の要約だけを持って戻ってきて、別室のホワイトボードは片付けられます。1つの作業ごとに1人呼んで、終わったら片付くので、勝手に増えて収拾がつかなくなることはありません。
  2. 「使う道具を指定しておけば、その手順書は絶対に安全なんでしょ?」 — 半分正しくて、半分違います。道具の指定は「聞かずに使っていい」と「使わないで」の2種類ですが、どちらもその手順書を呼んだ1回の作業の間だけ効果がある指定で、次のお願いをした時点で、いつもの権限設定どおりの状態に戻ります。また、第17回の権限設定の拒否リストのほうが強いので、冒頭の欄で「使っていい」と書いても、拒否リストにある操作は止まります。「ついでに変な道具を使わないで」という絞り込みには向いていますが、「絶対に止めたい」なら拒否リストの出番です。
  3. 「自分が作ったスキルは、Claude Codeくんの部下も、当然使えるんでしょ?」 — 最初からは渡りません。部下は今までの会話を知らない新人さんなので、みなさんのClaude Codeくんが会話の中で開いていた手順書も持たずに作業を始めます。途中で気づいて開いてくれればいいのですが、気づかないまま自己流で作ってくることもあります。確実に使ってほしい手順書は、部下の設定の冒頭の欄で指定して持たせるのが確実です。

ステップ1: 別室での作業の仕組みと、別室を使うタイミング

「別室で作業して」という指定は、「この手順書の作業は、Claude Codeくん本人じゃなくて、部下を呼んで、別の部屋でやらせて」という意味です。会社で言えば、会議室を借りて資料を何十枚も広げ、あれこれ読んでメモを取り、最後に「結論はこれです」という1枚だけを机に持ってくる頼み方。会議室に広げた資料は片付けられて、みなさんの机には来ません。ホワイトボードで言えば、何十枚分の情報は部下の部屋のホワイトボードに書かれてそのまま消え、みなさんのホワイトボードに乗るのは結論の1枚だけです。

判断の基準は1つで、途中経過の情報が、みなさんに必要かどうか。

  • 別室向き: 「この作業フォルダの中を全部調べて、去年の見積書がどこにあるか探して」のような調べ物。何十個のファイルを開いたかは知らなくてよくて、欲しいのは「ここにありました」の1行だけ。「この企画の別の切り口を3つ考えて」のようなブレストも、途中の没案や迷いはみなさんのホワイトボードに要らないので別室向きです
  • いつもの部屋向き: 「この文章を一緒に見ながら直していこう」のように、途中経過そのものを見ながら進める作業は、別室にしないで、いつもの部屋でClaude Codeくんにやってもらいます

注意が2つあります。

  • 別室に持っていく手順書には、「やること」が書いてないとダメ。別室の部下は、今までの会話を知らないまま、手順書の中身を「依頼」として受け取ります。「うちの書類の書き方はこうです」のような決まりごとしか書いていないと、部下は何をすればいいか分からず、意味のある結果を返さずに戻ってきます。「これを調べて、こうまとめて、こう報告して」という作業の指示が書いてある手順書が別室向きです
  • 別室の作業は、みなさんを待たせずに裏で動く(2026年9月時点の既定)。部下が別の部屋で作業している間も、Claude Codeくんと別の話を続けられて、部下が戻ってきたら結果が会話の中に届きます

ステップ2: 道具の指定と、記入例

道具の指定は2種類です(名前は参考までで、覚えなくて大丈夫です)。

  • 聞かずに使っていい(アラウド・ツールズ): 「作業の記録を残す手順書」で、記録を残すコマンドを毎回聞かれるのがうっとうしいときに。第17回の許可リストの「この手順書のときだけ版」です
  • 使わないで(ディスアラウド・ツールズ): 「調べ物をするだけの手順書」で、ファイルを書き換える道具を外しておけば、調べ物のついでにうっかりファイルを直してしまうのを防げます

記入例(アーギュメント・ヒント)は、名前のあとに何を添えればいいかを、呼び出すときの画面にヒントとして出しておく項目です。「スラッシュ、せいきゅうしょ」だけでは「どこの会社の、何月分?」が足りないので、「スラッシュ、せいきゅうしょ、A社、9月分」のように名前のあとに情報を添えて呼び出せます。役所の申込用紙で欄の横に小さく「例:山田太郎」と書いてあるのと同じで、/せいきゅうしょ と打ち始めると、後ろに薄い文字で「会社名 月」と出てきます。

どれも、「この手順書のときは、記録のコマンドは聞かずに使っていいようにしておいて」「この手順書に、会社名と月を添えて呼ぶように、記入例をつけておいて」とClaude Codeくんに頼めば、冒頭の欄に書いてくれます。

ステップ3: 部下と手順書の関係、同じ名前の手順書の優先順位、それから、うまく発動しないときと、直したとき

部下に確実に手順書を渡すには、部下の設定の冒頭の欄に「この手順書を持っていって」という項目があり、そこに手順書の名前を書きます。ステップ1の「別室で作業」は手順書の側に「これは部下にやらせて」と書くもの、こちらは部下の側に「この手順書を持っていって」と書くもの。方向は逆ですが、どちらも部下と手順書をセットにする指定です。

部下に持たせた手順書は、名前と説明文だけでなく、作業を始めるときに中身が丸ごと渡されます。たくさん持たせると部下のホワイトボードが最初から重くなるので、その作業に要る手順書だけを持たせます。

例えば、こういう失敗が起こりがちです。「調べ物の結果は、この形式でまとめる」という手順書を自分用に作ってあったのに、調べ物を部下に任せたら、いつもと全然違う形式の報告が返ってきた。部下がその手順書の存在に気づかないまま、自己流でまとめていたのが原因です。部下の設定の冒頭の欄に「この手順書を持っていって」と書いておけば、次からはいつもの形で返ってきます。

なお、Claude Codeくんに最初から用意されている部下の「探索係」と「計画係」には、手順書を持たせられません。身軽さが売りなので、貼り紙(CLAUDE.md)も読まずに動く決まりになっています。

同じ名前の手順書がぶつかったときは、会社の管理者が配ったもの → 自分用 → プロジェクト用の順で勝ちます。外から入れた**拡張セット(プラグイン)**の手順書は、名前の頭に拡張セットの名前が自動でつく(例:「営業セットのせいきゅうしょ」)ので、そもそもぶつかりません。

手順書がうまく発動しないときは、原因のほとんどが冒頭の説明文です。「月末の締め、やっといて」と頼んでいるのに、説明文に「請求書を作るとき」としか書いていなければ、Claude Codeくんは「この手順書だ」と気づけません。自分が実際に言っている言い回しを2〜3個、説明文に足します。逆に「関係ないときにも発動してしまう」なら、説明文の範囲を狭くする。それでもダメなら、前回の「手動だけ」のスイッチをつけます。

手順書を直したときは、その場ですぐ反映されます。Claude Codeを終わらせて起動し直す必要はありません。ただし、手順書を置くフォルダ自体を新しく作ったときだけは、Claude Codeがまだそのフォルダを見張っていないので、一度起動し直してください。

冒頭の欄に書けるもの(本編では読まなかった分)

本編で「記事版に載せます」とお伝えした分です。覚えなくて大丈夫。 「この手順書を別室で作業するようにして」「記入例をつけて」と頼めば、Claude Codeくんが正しい形で書いてくれます。

項目何をするか
前回の分第18回
名前name呼び出しの一覧に出る名前。省略するとフォルダ名
説明文description何をする手順書か、どういうときに使うか。Claude Codeくんが出番を判断する材料
手動だけ・自動だけdisable-model-invocation / user-invocable誰が開けるかのスイッチ
今回の3つ本編で話したもの
別室で作業context: fork部下が別のホワイトボードで作業し、結果の要約だけを返す。手順書の中身がそのまま部下への依頼になる
別室の部下の種類agent別室で作業するときに、どの部下に任せるか(例: 探索係=Explore)
裏で動くかbackground別室の作業を裏で動かすか。既定は裏で動く(true)。false にすると結果が出るまで待つ
聞かずに使っていい道具allowed-toolsその手順書を呼んだ1回の作業の間だけ、確認なしで使える。次のメッセージで元に戻る。拒否リストには勝てない
使わない道具disallowed-toolsその手順書が動いている間だけ、道具を外す。次のメッセージで元に戻る
記入例argument-hint呼び出すときに、名前のあとに何を添えるかのヒントを画面に出す
本編では触れなかったもの参考
空欄$ARGUMENTS(本文に書く)名前のあとに添えた情報を、本文の決まった場所に差し込む。書かなくても、添えた情報は手順書の末尾に自動で付く
モデルmodelその手順書のときだけ使うAIのモデル(モデルの使い分けの回で扱います)

書き方の実例: 別室で調べ物をする手順書

「去年の見積書を探す」ような調べ物を別室で行い、書き換えの道具(Edit・Write)は外しておく例です。

---
name: find-doc
description: 作業フォルダの中から書類を探すときに使う。「どこにある?」「探して」と頼まれたときも使う
context: fork
agent: general-purpose
disallowed-tools: Edit Write
argument-hint: [探したい書類] [年]
---

作業フォルダの中から、$ARGUMENTS を探してください。

1. 名前と中身の両方で候補のファイルを探す
2. 候補を読んで、いちばん当てはまるものを1つに絞る
3. 「ファイルの場所」と「そう判断した理由」を3行以内で報告する
  • --- で挟まれた部分が冒頭の欄です。「やること(1〜3)」が本文に書いてあるので、別室の部下は何をすればいいか分かります
  • /find-doc 見積書 2025 のように呼ぶと、$ARGUMENTS の場所に「見積書 2025」が入ります

部下の設定の冒頭の欄に、手順書を持たせる書き方(本編では読まなかった分)

部下(サブエージェント)は、スキルと同じように、1人につき1つの設定ファイルを自分で作れます。その冒頭の欄の skills に手順書の名前を書くと、部下は作業を始めるときに、その手順書の中身を丸ごと持った状態になります。部下の設定の作り方そのものは、Season 5 で詳しく扱います。

---
name: researcher
description: 調べ物を担当する部下。調べた結果は決まった形式で報告する
skills:
  - report-format
---

あなたは調べ物の担当です。調べた結果は report-format の形式で報告してください。
  • 置き場所は、プロジェクト用なら 作業フォルダ/.claude/agents/researcher.md、自分用なら ~/.claude/agents/researcher.md
  • 「手動だけ」のスイッチ(disable-model-invocation: true)をつけた手順書は、部下に持たせられません
  • 組み込みの探索係と計画係には、手順書を持たせられません(貼り紙の CLAUDE.md も読まずに動きます)
  • 「調べ物をする部下には、報告の書き方の手順書を持たせておいて」と頼めば、Claude Codeくんが書いてくれます

同じ名前の手順書の優先順位(本編では読まなかった分)

順番置き場所
上ほど強い覚えるのは「会社・自分・プロジェクト」だけ
1. 会社の管理管理者が配布する managed settings組織の全員に配る手順書。「全員これで統一」を個人が上書きできないように、一番強い
2. 自分用~/.claude/skills/スキル名/SKILL.md自分のパソコンの、どの作業フォルダでも使える
3. プロジェクト用作業フォルダ/.claude/skills/スキル名/SKILL.mdその作業フォルダだけ。フォルダと一緒にチームに届く
拡張セット(プラグイン)/拡張セット名:スキル名名前の頭に拡張セットの名前がつくので、上の3つとそもそもぶつからない

発動しないときの確認手順(本編では読まなかった分)

  1. 説明文に、ふだん自分が言っている言い回しが入っているか。入っていなければ2〜3個足す(例: 「月末の締め」「請求」「請求書」)
  2. Claude Codeくんに「どんなスキルが使える?」と聞いて、一覧に出てくるか。出てこなければ、置き場所かフォルダの形が違う可能性があります
  3. お願いの言い方を、説明文に近づけて試す
  4. 名前で直接呼んでみる(/スキル名)。名前で呼べば動くのに自分では開かないなら、説明文の問題です
  5. 冒頭の欄の書き方が崩れていないか。--- がファイルの1行目にない、行の形が崩れているなどで冒頭の欄が読めないと、名前で呼べても説明文が使われません。「このスキルの冒頭の欄、正しく読める形になってる?」と聞けば確認してくれます
  • 関係ないときにも発動してしまうときは、説明文を具体的に狭くする。それでもダメなら「手動だけ」のスイッチをつけます
  • 手順書を置くフォルダ自体を会話の途中で新しく作ったときは、Claude Codeを起動し直してください(2026年9月時点)。起動し直さずに /reload-skills で読み込み直すこともできますが、その場合はそのフォルダの中を変えるたびに打ち直しが要ります
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