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#27 AIが使っている「手」の道具箱— 探す・読む・直す

2026.10.28 | 25:03

#27 エピソードアート
きょうの持ち帰りAIの手は6つの道具。中身で探す・名前で探す・読む・書く・直す・実行する。AIは探してから読んでるから、頼むときも『まず探して』と伝える。直す道具は目印が1か所に決まらないと止まるから、直す場所は1か所に決まる言い方で。

まず結論

Claude Codeくんの「手」は、6つの道具でできています。

  • 探す道具が2つ: 「中身で探す」道具と、「名前で探す」道具
  • 読む道具: ファイルの中身を丸ごと読む
  • 書く道具: ファイルを新しく作ったり、丸ごと書き直したりする
  • 直す道具: ファイルの中の、決まった1か所だけを置き換える
  • 実行する道具: コマンド(パソコンへの命令文)を動かす

この6つの使われ方で、大事なところは3つです。

  1. Claude Codeくんは、探してから、読んで、直すという順番で動いています。フォルダの中のファイルを全部読んでいるわけではなく、探す道具で絞ってから、必要なファイルだけを読んでいます
  2. 直す道具は、「目印の文」を探して置き換える仕組みです。目印がファイルの中に2か所以上あったり、1か所も見つからなかったりすると止まります。止まったら、Claude Codeくんは目印を長くして1か所に決め直したり、ファイルを読み直したりして、もう一度直してくれます
  3. 大きいフォルダを扱うときは、入口から辿ります。全部読もうとせず、まず入口になるファイルを探して、そこから関係するファイルを順番に辿っていきます

よくある3つの誤解

  1. 「Claude Codeくんは、フォルダの中のファイルを、全部読んでから答えてるんでしょ?」 — 全部は読んでいません。第22回でお話ししたとおり、ファイルを1個読むとその中身が丸ごとホワイトボードに乗るので、100個のファイルを全部読んでいたら、あっという間にホワイトボードが埋まってしまいます。探す道具で「この言葉が入っているファイルはどれ?」「この名前のファイルはどこ?」と絞って、出てきた数個のファイルだけを読んでいます
  2. 「直してと頼んだら途中で止まった。壊れたのかな?」 — 壊れていません。直す道具の仕組みによるものです。目印の文が2か所以上あると「どっちを直せばいいのかわからない」、今のファイルの中身と1文字でも違うと「見つからない」で止まります。間違ったところを直さないための慎重な仕組みで、止まったあとClaude Codeくんがやり直して、ちゃんと直っていることが多いです
  3. 「道具の名前や仕組みは、自分は知らなくていいでしょ?」 — 半分は正しいです。どの道具を使うかを選ぶのはClaude Codeくんなので、道具を指定する必要は基本的にありません。ただ、頼み方を道具の動き方に合わせると速くなります。「このフォルダのファイルを全部読んで、A社の金額を直して」は一番重い頼み方で、「まず、A社という言葉が入っているファイルを探して、それだけ読んで、金額を直して」に言い換えると、一番軽い流れになります

6つの道具の一覧表

道具(英語の名前)何をする道具か・向いてる頼み方
中身で探すGrep(グレップ)ファイルの中に書いてある言葉で探す。
頼み方の例: 「『A社』っていう言葉が入ってるファイルを探して」「『有効期限』って書いてあるファイルを探して」
名前で探すGlob(グロブ)ファイルの名前の形で探す。第16回のアスタリスク(星印)の書き方がそのまま使われます(例: 見積書_*、*.xlsx)。
頼み方の例: 「名前が『見積書_』で始まるファイルを探して」「名前の最後が .xlsx のファイルを集めて」
読むRead(リード)ファイルを開いて、中身を丸ごと読む。読んだ中身はホワイトボードに乗るので、探して絞ったあとの必要なファイルだけに使うのが基本です
書くWrite(ライト)ファイルを新しく作る、または丸ごと新しい内容で書き直す(紙を丸ごと清書し直すイメージ)。
頼み方の例: 「新しい見積書のひな型を作って」
直すEdit(エディット)「この文を、この文に置き換えて」と2つの文をセットで渡して、目印の文が1か所だけ見つかったときに、そこだけを差し替える(修正テープのイメージ)。
頼み方の例: 「A社の明細の、すぐ下にある合計の行を直して」
実行するBash(バッシュ)コマンド(パソコンへの命令文)を動かす。第9回のGitでのセーブや、第20回のフックで動かす処理など、「パソコンに何かをさせる」ことはだいたいこの道具です。第8回の「消える操作」「外に出る操作」もできるので、第17回の権限設定でしっかり見張っておく価値があります
  • Mac・Linux・WSL では、中身で探す道具と名前で探す道具は、既定では単独の道具として使われず、実行する道具の中に組み込まれた探し方(find と grep)で同じ2種類の探し方をします。Windows では、それぞれ単独の道具として動きます。どちらでも「中身で探す」「名前で探す」の2種類なのは同じなので、頼み方は変わりません
  • 公式のドキュメントでは、読む・中身で探す・名前で探すの3つは、ふだんは確認なしで使える道具、書く・直す・実行するの3つは、使う前に確認が要る道具に分けられています
  • Claude Codeくんには、この6つ以外にも道具があります(作業を手分けする仲間を呼ぶ道具、Webを調べる道具など)。今回は、ファイルを扱う「手」の基本の6つに絞っています

「中身で探す」と「名前で探す」の使い分けの表

判断の基準は1つだけ、「探したいものは、ファイルの中に書いてある言葉? それとも、ファイルの名前?」です。

探したいもの使う探し方と例
中に書いてある言葉中身で探す例: 「A社の見積もりの金額を直したい」。「A社」はファイルの中に書いてあるので、中身で探します。図書館で言うと、「『渋谷』という言葉が出てくる本を全部探して」という全文検索
ファイルの名前名前で探す例: 「今月作った見積書を全部集めたい」。「見積書」はファイルの名前に入っているので、名前で探します。図書館で言うと、「題名に『東京』が入っている本を探して」という背表紙検索
両方名前で絞ってから中身で探す例: 「名前が『見積書』で始まるファイルの中から、『A社』って書いてあるものを探して」という2段構え

道具の名前を言う必要はありません。「言葉で探すのか、名前で探すのか」をはっきり伝えれば、Claude Codeくんが合う道具を選んでくれます。

直す道具が止まる2つのパターンと、そのあとのやり直し方

直す道具は、目印の文がファイルの中にちょうど1か所あるときだけ動きます。止まる理由は2つで、それぞれやり直し方が違います。

止まった理由Claude Codeくんのやり直し方
目印が2か所以上ある「複数見つかりました」目印を長くする。例: 「合計」の行だけを目印にせず、すぐ上の行まで一緒に目印にして、「A社の明細のすぐ下にある合計の行」と1か所に決まるまで長くします。同じ文を全部同じように直していいときは、全部まとめて置き換えることもできます
目印が見つからない「見つかりませんでした」ファイルを読み直す。前に読んだあとでファイルの中身が変わっていると、覚えている文と今の文がずれて目印が見つからなくなります。読む道具で今の中身を確かめてから、あらためて直します。読み直した分、ファイルの中身がまたホワイトボードに乗ります

みなさんの頼み方で、止まるのを減らせます。「合計の行を直して」だと、合計の行が3か所あれば決まりません。「A社の明細の、すぐ下にある合計の行を直して」まで言えば、Claude Codeくんが最初から1か所に決まる目印を選べるので、1回で直せます。

「入口から辿る」頼み方の例

ファイルが何百個もあるフォルダでは、Claude Codeくんは全部を読まずに、入口を探して、読んで、辿るという進め方をします。

  1. 探す道具で、入口になるファイルを1個見つける(例: 請求書の作り方に関係する、一番大元のファイル)
  2. 読む道具でそれを読むと、「この計算は、こっちのファイルを見て」のように、関係するファイルのことが書いてある
  3. その関係するファイルだけをまた読む。さらに別のファイルのことが書いてあれば、それも読む(芋づる式)

公式のドキュメントでも、まず関係するファイルを探してもらい、それがどうつながっているかを聞いて、流れを辿ってもらう、という順番の頼み方が紹介されています。

「全部読んで」を「まず探して」に変える例

ファイルが何百個もある共有フォルダで、去年の単価を新しい単価に直したいときの例です。

このフォルダのファイルを全部読んで、去年の単価が書いてあるところを、全部新しい単価に直して。

これだと、ファイルを次々に読んでいくうちにホワイトボードが埋まって、直し漏れが出たり、途中で自動の要約が入って細かい単価の数字が溶けてしまったりしがちです。

まず、「単価」っていう言葉が入ってるファイルを探して。
次に、その中で、名前に「2025」が入ってるものだけに絞って。
それだけ読んで、直して。

こう頼むと、中身で探して絞り、名前で探してさらに絞って、残ったファイルだけを読んで直す流れになるので、速く、正確に終わりやすくなります。

  • どこにあるのか全く見当がつかないときは、無理に絞らず「探して」とだけ頼んでも大丈夫です
  • まずは、毎回Claude Codeくんに場所を探してもらっているファイルを1つ選んで、「探し方から頼む」を試してみてください

※ここに書いた仕様は 2026年10月27日時点の公式ドキュメントに基づいています。Claude Code は更新が速いので、最新の情報は公式ドキュメントで確認してください。

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