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#21 結局どれに書けばいい?— CLAUDE.md・ルール・スキル・フック・権限の使い分け

2026.10.07 | 26:17

#21 エピソードアート
きょうの持ち帰りAIに守ってほしいことの置き場所は、3つの質問で決まる。守ってくれなきゃ困るものは、仕組みで守るほうで、そもそもやらせないなら権限設定、必ずやらせるならフック。守ってくれたら嬉しいものは、言葉で伝えるほうで、いつも読んでてほしいなら貼り紙、この種類のファイルを触るときだけなら条件つきの別冊、この作業をするときだけならスキル。そして、どこで守ってほしいかで、何階に置くかを決める。置き場所に迷ったら、まず貼り紙に書いて、貼り紙にお願いが増えて、困りごとが見えてきたら引っ越す。

まず結論

AIに守ってほしいことの置き場所は、3つの質問で決まります。

  1. 守ってくれなきゃ困る? それとも、守ってくれたら嬉しい? — 困るなら「仕組みで守る」ほう(そもそもやらせない・勝手にはやらせない=第17回の権限設定の拒否リスト・確認リスト/必ずやらせる=第20回のフック)。嬉しいなら「言葉で伝える」ほう
  2. いつも読んでてほしい? それとも、決まった場面だけ? — いつもなら貼り紙(CLAUDE.md。長くなったら条件なしの別冊=ルールファイル)。決まった場面だけなら、「この種類のファイルを触るとき」は第16回の条件つきの別冊、「この作業をするとき」は第18回のスキル
  3. どこで守ってほしい? — どこで作業しているときも守ってほしいなら1階(自分の作業全体)、このフォルダだけなら2階(その作業フォルダ)、今の会話だけならファイルには書かずに口で言う。第14回の縦の軸そのままです

この3つを上から順番に聞くだけで、置き場所が1つに決まります。逆に言うと、置き場所に迷ったら、この3つの質問に戻ってくれば大丈夫です。

よくある3つの誤解

  1. 「面倒だから、全部CLAUDE.mdに書いておけば、とりあえず動くでしょ?」 — 動くには動くんですが、3つのことが同時に起きます。貼り紙が太って、Claude Codeくんが毎回読む量が増え、ホワイトボードが重くなる(第15回)。行が増えるほど1行1行の重みが薄まって、大事なお願いほど守られにくくなる(第20回の強調語の話)。1回でも抜けたら困ることまで貼り紙に書いているので、100回に1回とか認識できないことがある(第14回の線引き)。全部CLAUDE.mdは、重くて、薄くて、たまに抜ける状態です。3つの質問で仕組みや別冊・スキルへ仕分けて、貼り紙には「守ってくれたら嬉しい」かつ「いつも読んでてほしい」ものだけを残します
  2. 「じゃあ逆に、全部を仕組みに入れておけば一番安全なんでしょ?」 — 仕組みはClaude Codeくんの判断に関係なく機械的に動くので、「今回だけは例外で」が効かなくなります。たとえば「文章はですます調で」という好みをフックで機械的にチェックすると、「今回は社内向けだから、ですます調じゃなくていいよ」と口でいくら言っても、フックが毎回止めてきます。また、仕組みはこちらが決めた条件しか見ないので、条件の書き方を少し間違えると、必要な操作まで止めてしまいます。仕組みは、1回でも抜けたら困ることにだけ。消える操作・外に出る操作(第8回)や、「終わる前に必ず確認する」のような本当に外せないものです
  3. 「置き場所を間違えたら直すのが大変だから、最初から正解の場所を選ばなきゃ」 — 置き場所は後からいくらでも変えられます。「この行は貼り紙からスキルに移して」「これは拒否リストに引っ越しして」とClaude Codeくんに頼めば、正しい場所に正しい書き方で移してくれます。おすすめは第7回と同じで、まず貼り紙に書いておいて、「貼り紙にしては長いな」「これは1回でも抜けたら困るやつだな」と困りごとが見えてきたときに、3つの質問をして引っ越すことです

ステップ1: 1つ目の質問「守ってくれなきゃ困る? それとも、守ってくれたら嬉しい?」

第14回で「守ってくれたら嬉しいものは貼り紙、絶対に守ってくれなきゃ困るものは仕組み」という線引きをしました。あれを質問の形に直したのが、1つ目の質問です。

判断の基準は、もしClaude Codeくんが100回に1回でもそのお願いを守らなかったら、何かが壊れたり、外に出してはいけないものが外に出たりするかどうか。壊れたり外に出たりするなら「守ってくれなきゃ困る」、どちらも起きないなら「守ってくれたら嬉しい」です。

「仕組みで守る」ほうに進んだら、もう1つだけ分かれ道があります。**そもそもやらせない(勝手にはやらせない)**なら第17回の権限設定の拒否リスト(確認リスト)、この場面が来たら必ずやらせるなら第20回のフックです。

本編で当てはめた3つの例は、下の「例の仕分け表」にまとめています。ポイントは、この1つ目の質問を飛ばさないこと。飛ばして「専門用語なしで」まで仕組みにしようとするのが誤解の2つ目(縛りすぎ)、「絶対に消さないで」を貼り紙に書いたままにするのが誤解の1つ目(たまに抜ける)のパターンです。

ステップ2: 2つ目の質問と、そもそもファイルに書くほどのことか

1つ目の質問で「守ってくれたら嬉しい」、つまり言葉で伝えるほうに進んだものについて、次に聞くのが2つ目の質問です。

  • いつも読んでてほしい → 貼り紙(CLAUDE.md)。長くなったら、テーマごとの条件なしの別冊(ルールファイル)に分ける(第15回)。「自分はパソコンが苦手」「このフォルダは町内会の会計」のように、どの作業のときでも最初から知っておいてほしいこと
  • この種類のファイルを触るときだけ → 条件つきの別冊(パス指定ルール・第16回)。「見積書のExcelを触るときは、税込みと税抜きの両方を書いて」のようなもの。どのフォルダにあるかに関係なく、決まった種類のファイルを触ったときに読まれるので、ファイルがあちこちのフォルダに散らばっていても別冊は1冊で済みます
  • この作業をするときだけ → スキル(第18回)。「請求書を作るときはこの手順で」のようなもの。冒頭の説明文に「請求書を作るとき」と書いておけば、Claude Codeくんがその作業のときに自分で開いてくれます

条件つきの別冊もスキルも、その場面が来るまでは読まれないのが共通点です。違いは読まれるきっかけだけ。ファイルの種類なら条件つきの別冊、作業の種類ならスキルです。

それから、2つ目の質問の前にもう1つ考えておきたいのが、そもそもファイルに書くほどのことかです。Claude Codeくんに何かを伝える方法は、大きく分けると3段階あります(下の「3段階の表」)。どれにするかの基準は、そのお願いや資料を何回使うか。1回きりなら口で言う、この会話の間だけならアットマークで渡す、毎回なら貼り紙に書く。第7回の「2回以上同じことを言ったら貼り紙に追記」は、1段階目から3段階目への引っ越しの合図だった、ということです。

ステップ3: 3つ目の質問と、引っ越しの例

3つ目の質問「どこで守ってほしい?」は、第14回・第15回の縦の軸そのままです。どこで作業しているときも守ってほしいなら1階(自分の作業全体に効く場所)、このフォルダだけなら2階(その作業フォルダの中)、今の会話だけならファイルには書かずにその場で口で言う。

この質問は貼り紙だけでなく、権限設定でも、スキルでも、別冊でも、全部で使えます。どれにも1階と2階の置き場所があるからです(下の「置き場所の早見表」)。チームで使っている方は、第15回の「フォルダと一緒にチームに届くのは2階だけ」を思い出してください。みんなに守ってほしいなら、2階の中でもチームに届く方のファイルに置きます。

最後に、3つの質問を通しで使う例です。たとえば、第7回の「2回言ったら追記」をまじめに続けていたら、貼り紙(CLAUDE.md)が200行くらいになっていたとします。それ自体は正しいやり方ですが、その頃には「絶対に守ってほしいお願いを、Claude Codeくんがたまに認識できていない」という困りごとが出てきます。その200行を3つの質問で上から1行ずつ仕分けると、

  • 「消さないで」「外に送らないで」系 → 守ってくれなきゃ困る・そもそもやらせない → 拒否リストへ
  • 「終わったら確認して」系 → 守ってくれなきゃ困る・必ずやらせる → フックへ
  • 請求書の作り方・月末の締めの手順 → 守ってくれたら嬉しい・この作業をするときだけ → スキルへ
  • 「見積書は税込みと税抜きで」系 → 守ってくれたら嬉しい・この種類のファイルを触るときだけ → 条件つきの別冊へ
  • 残るのは「自分はこういう人間です」「説明はやさしく」のような、守ってくれたら嬉しい・いつも読んでてほしいものだけ → 貼り紙は短いものに戻る

これを自分で1行ずつ移す必要はありません。下の「頼み方の実例」のように頼めば、Claude Codeくんが仕分けの案を出してくれます。みなさんがやるのは、その案を見て「これは1回でも守ってくれなかったら困る」を自分で判断することだけです。

3つの質問の流れ図

上から順番に聞いていけば、置き場所が1つに決まります。

答え次に進む先・置き場所
質問1: 守ってくれなきゃ困る?→ はい:仕組みで守るほう
そもそもやらせない勝手にはやらせない権限設定の拒否リスト(勝手にはやらせないなら確認リスト)。第17回
この場面が来たら必ずやらせるフック。第20回
質問1: 守ってくれたら嬉しい→ 言葉で伝えるほう。質問2へ(その前に「ファイルに書くほどのことか」も)
質問2: いつも読んでてほしい貼り紙(CLAUDE.md)。長くなったら条件なしの別冊(ルールファイル)に分ける。第7回・第15回
質問2: この種類のファイルを触るときだけ条件つきの別冊(パス指定ルール)。第16回
質問2: この作業をするときだけ→ 手順書
決まった作業のときスキル。第18回・第19回
質問3: どこで守ってほしい?→ 何階に置くか(上のどの置き場所にも共通)
どこで作業しているときも1階(自分の作業全体)
このフォルダだけ2階(その作業フォルダ)。チームにも守ってほしいなら、2階の中でもチームに届く方のファイル
今の会話だけファイルには書かず、その場で口で言う

例の仕分け表(本編の例)

本編で当てはめた例を、3つの質問の答えと置き場所に並べました。

お願い3つの質問の答え → 置き場所
仕組みで守るほう1回でも抜けたら困る
原本のフォルダの中のファイルは絶対に消さないで守ってくれなきゃ困る(ファイルが消える)・そもそもやらせない → 権限設定の拒否リスト
お客さんのフォルダは消さないで守ってくれなきゃ困る・そもそもやらせない → 権限設定の拒否リスト
作業が終わったら、必ず合計が合ってるか確認してから報告して守ってくれなきゃ困る(間違った数字が出てしまう)・必ずやらせる → フック(終わりを認めないフック。第20回)
言葉で伝えるほう守ってくれたら嬉しい
説明は専門用語なしでやさしくして専門用語が出ても聞き返せば済む(何も壊れない・外にも出ない)・いつも読んでてほしい → 貼り紙
見積書には有効期限を必ず入れて守ってくれたら嬉しい・見積書のファイルを触るときだけ → 条件つきの別冊
手順書決まった作業のときだけ
月末の締めは、この5つの手順で守ってくれたら嬉しい・月末の締め作業のときだけ → スキル
請求書を作るときは、うちで決まってる書式で守ってくれたら嬉しい・請求書を作るときだけ → スキル
ファイルには書かない今回だけ
今日は急ぎなので短めで今回の会話だけ → その場で口で言う

口で言う・アットマーク・貼り紙の3段階の表

「そもそもファイルに書くほどのことか」を決める3段階です。基準は何回使うか。

段階どんなときに・どう伝わるか
1段階目: その場で口で言う1回きり
例今回の会話だけ「今日は急ぎなので短めで」。その会話が終われば、そのお願いは残らない
2段階目: アットマークでファイルを渡すこの会話の間だけ
例お願いの中に書く「@見積書.xlsx を見ながらやって」のように、ファイルの名前の前にアットマークをつけて一緒に送ると、その会話の中だけ、そのファイルの中身をClaude Codeくんが読んでくれる。この会話でこの資料だけ、というピンポイントの渡し方
貼り紙の中のアットマークとの違い記号は同じアットマークでも、書く場所で効き方が違う。貼り紙の中に書くと毎回読まれる(第15回の、別のファイルを読み込む書き方)。打ち込むお願い(プロンプト)の中に書くと、その会話のときだけ読まれる
3段階目: 貼り紙に書く毎回
例どの会話でも毎回どの会話でもClaude Codeくんに読んでほしいことは、こっち。第7回の「2回以上同じことを言ったら貼り紙に追記」は、1段階目から3段階目への引っ越しの合図

置き場所の早見表(1階・2階)

3つ目の質問で決めた階ごとの置き場所です。ファイル名は覚えなくて大丈夫。「これを2階の拒否リストに入れて」のように頼めば、Claude Codeくんが正しい場所に書いてくれます(2026年9月時点)。

設定1階(自分の作業全体) / 2階(その作業フォルダ)
お願い
貼り紙CLAUDE.md1階 ~/.claude/CLAUDE.md / 2階 作業フォルダ/CLAUDE.md(自分だけの分は CLAUDE.local.md)
別冊・条件つきの別冊ルールファイル・パス指定ルール1階 ~/.claude/rules/ / 2階 作業フォルダ/.claude/rules/
仕組み
権限設定・フックsettings.json1階 ~/.claude/settings.json / 2階 作業フォルダ/.claude/settings.json(自分だけの分は settings.local.json)
手順書
スキルSKILL.md1階 ~/.claude/skills/ / 2階 作業フォルダ/.claude/skills/
  • 2階の中で「チームに届く方」は、作業フォルダと一緒に共有されるファイル(CLAUDE.md・.claude/ の中)。settings.local.json は自分だけの分で、Gitで共有されません(第17回)。CLAUDE.local.md も自分専用のメモですが、.gitignore に自分で入れておかないと運ばれてしまいます(第15回)

頼み方の実例:貼り紙を3つの質問で仕分けてもらう

貼り紙(CLAUDE.md)が長くなってきたら、こんなふうに頼みます。いきなり移さずに、まず仕分けの案を出してもらうのがコツです。

このCLAUDE.mdの内容を、3つの質問で1行ずつ仕分けて、引っ越し先の案を表にして。
まだ移さないで、案だけ見せて。

1つ目:守ってくれなきゃ困る? 守ってくれたら嬉しい?
  困る → そもそもやらせないなら権限設定の拒否リスト(勝手にはやらせないなら確認リスト)、
         必ずやらせるならフック
2つ目:(嬉しいもののうち)いつも読んでてほしい? 決まった場面だけ?
  いつも → CLAUDE.mdに残す
  この種類のファイルを触るときだけ → 条件つきの別冊(パス指定ルール)
  この作業をするときだけ → スキル
3つ目:どこで守ってほしい? 自分の作業全体なら1階、このフォルダだけなら2階

案が出たら、表を見て直してから実行してもらいます。

「原本を消さないで」は1回でも抜けたら困るので、拒否リストでいい。
「見積書は税込みと税抜きで」は条件つきの別冊じゃなくて、CLAUDE.mdに残しておいて。
それ以外は案のとおりに引っ越しして。

1行だけ動かしたいときは、もっと短くて大丈夫です。

CLAUDE.mdの「請求書を作るときは、うちの書式で」の行を、スキルに移しておいて。
  • みなさんがやるのは、案を見て「これはClaude Codeくんが1回でも守ってくれなかったら困る」を判断することだけです
  • まだ置き場所に迷うものは、無理に動かさず貼り紙に書いたままで大丈夫。迷ったら、まず貼り紙です
  • みなさんのCLAUDE.mdの中で一番長くなっている段落が、まず引っ越しを考えてみる候補です。長くなっているところほど、手順や、決まったファイルのときだけのお願いが混ざっているかもしれません
~/next-steps