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#24 AIにも「得意な子」がいるの?— モデルの使い分け

2026.10.17 | 26:19

#24 エピソードアート
きょうの持ち帰りAIのモデルには、返事が速い子・速さと賢さのバランスがいい子・じっくり考える子がいて、賢さと、速さ・コストはトレードオフ。作業の難しさに合わせて選んで、全部を一番賢い子に頼まない。迷ったらバランスがいい子から始めて、物足りなければ上の子に変えてみる。

まず結論

Claude Codeくんの中で動いているAIのことを「モデル」といいます。モデルは大きく分けて、返事が速い子・速さと賢さのバランスがいい子・じっくり考える子の3段階と、その上の最上位の子がいます。

  • この子たちの関係は、賢さと、速さ・コストのトレードオフです。賢い子ほど難しい判断ができる代わりに、返事が遅くて、使うのにコストもかかります。全部の面で一番いい子はいません
  • 使い分けの定石は、作業の難しさに合わせて選ぶ。言い換えると、全部の作業を一番賢い子に頼まないことです
  • どれに当たるか迷ったら、まずバランスがいい子でやってみて、物足りなければ上の子に変えてみる
  • 指定できる場所は、会話の途中・部下の冒頭の欄・スキルの冒頭の欄の3か所です

よくある3つの誤解

  1. 「一番賢いモデルをいつも使っておけば、問題ないでしょ?」 — 一番賢い子は、返事が遅くて、使うのにコストもかかります。ファイルの名前を日付の順に揃えるような簡単な作業だと、一番賢い子がやっても、返事が速い子がやっても、出てくる結果は同じなのに、待ち時間とコストだけが増えます。公式の説明でも、普段の作業はバランスがいい子で十分で、じっくり考える子は複雑な判断がいるときのために取っておく、という使い方が勧められています
  2. 「返事が速い子は、どうせ雑で、使い物にならないんでしょ?」 — 返事が速い子は、上の子の劣化版ではなく、向いている作業が違います。100件の問い合わせを種類ごとに分ける、表の形を整える、といった、判断がほとんどいらなくて量が多い作業は、返事が速い子が一番向いています。Claude Codeくんの中でも、会話に仮の題名をつけるような細かい仕事は、裏で返事が速い子のような小さめのモデルがやっています
  3. 「モデルを切り替えると、貼り紙とか設定も、全部変わっちゃうんでしょ?」 — 変わりません。第14回の設定の地図に載っていた貼り紙(CLAUDE.md)・権限の設定・フック・スキルは、全部そのままです。変わるのは、それを読んで考える頭の部分だけです。ただ、文章の書き方や説明の癖は、少し変わることがあります

2026年10月10日時点のモデルの一覧表

切り替えの画面には、この名前で並んでいます。名前の後ろの数字(5.5 など)は、バージョンアップのたびに上がります。名前そのものは変わりません。

番組での呼び名(名前)向いてる作業 → 速さとコストの目安
返事が速い子Haiku 5.5(ハイク)ファイルの名前を揃える・表の形を整える・問い合わせを種類で分ける・決まった形式に変換する → 一番速く、コストも一番低い
速さと賢さのバランスがいい子Sonnet 5.5(ソネット)文章を書く・資料をまとめる・普段の書類仕事・ちょっとした調べ物 → 毎日の作業の主力
じっくり考える子Opus 5.5(オーパス)何かの設計を考える・複雑な調べ物をまとめる・原因がわからない問題を追いかける・いくつかの案を比べて決める → 返事は遅めで、コストは高め
最上位の子Fable 5.1(フェーブル)本当に難しい判断がいるとき・長時間かかる大きな作業 → 一番時間がかかり、コストも一番高い
  • 名前の由来は、ハイク=俳句、ソネット=詩の形式の一つ、オーパス=作品、フェーブル=寓話。全部、文章の形にちなんだ名前です
  • 有料のプラン(Pro・Max・Team・Enterprise)と、使った分だけ払う契約(API)では、最初の設定で、じっくり考える子(Opus 5.5)が選ばれています。何も設定を変えていない方は、知らないうちにほとんどの作業をじっくり考える子に頼んでいることになります
  • 最上位の子(Fable)は、プランと席の種類によっては、プランに含まれる上限ではなく、追加のクレジット(usage credits)で払う形になることがあります。そのときは、切り替えの画面の Fable の行に「Requires usage credits」と表示されます
  • ニュースで見かける「ミュトス(Mythos)」は、フェーブルと中身は同じモデルで、安全のためのブレーキのかけ方だけが違います。サイバーセキュリティや生命科学の研究のためにブレーキを少しゆるめてあり、Anthropicの審査を通った一部の組織だけが使えます。普通に契約して使っているだけでは選べないので、5段階目のモデルではありません

モデルの切り替えのコマンドの打ち方

会話の途中で切り替えるときは、Claude Codeくんに指示を打ち込む欄で打ちます(ターミナルで使っている場合)。

/model

モデルの一覧が出てくるので、矢印キーで選んで Enter を押します。

/model sonnet

/model のあとに半角スペースを1つ空けて、モデルの名前まで打つと、一覧を通らずにそのまま切り替わります。名前は次の4つです。

打つ名前切り替わる子
haiku返事が速い子
sonnet速さと賢さのバランスがいい子
opusじっくり考える子
fable最上位の子
  • /model で選んだモデルは、次に新しく始める会話の最初の設定としても保存されます。今の会話だけ切り替えたいときは、/model の一覧で、選びたいモデルの行で s を押します
  • 切り替え方を忘れたら、Claude Codeくんに「モデルを切り替えたいんだけど、どうすればいい?」と聞いても教えてくれます

部下とスキルの冒頭の欄にモデルを書く実例

第19回でお話しした、部下(サブエージェント)とスキル(手順書)の「冒頭の欄」に、model: の1行を足すと、その部下やスキルが使うモデルを決めておけます。

部下の冒頭の欄

調べ物を担当する部下を、返事が速い子で動かす例です(.claude/agents/ の中の部下の設定ファイル)。

---
name: shirabemono
description: 取引先の資料から、決まった項目を探して一覧にする
model: haiku
---

渡されたフォルダの資料を読んで、会社名・担当者・金額・期限を表にまとめてください。
  • model: に書けるのは、haiku・sonnet・opus・fable か、inherit(会話の子と同じ子を使う)です。書かなければ、会話の子と同じ子になります
  • 部下は同じような作業を何回も任されることが多いので、ここを返事が速い子にしておくと、待ち時間もコストもまとめて減らせます

スキルの冒頭の欄

請求書の形を整える手順書を、返事が速い子で動かす例です(.claude/skills/<名前>/SKILL.md)。

---
name: seikyusho-seikei
description: 請求書のファイルを、決まった形に整える
model: haiku
effort: low
---

請求書の日付・金額・宛名を、下の決まった形に揃えてください。
  • スキルで指定した子に切り替わるのは、その手順書を使っている、そのお願いの間だけです。次のお願いを送ると、元の子に戻ります
  • effort: は、下の「考える深さ」を、この手順書を使う間だけ変える欄です

会社の許可リスト

会社で使っている方は、管理者さんが「うちで使っていいモデルはこれ」という許可リスト(availableModels)を決めていることがあります。

  • /model で、リストにない子に切り替えようとすると、エラーになって断られます
  • 部下の冒頭の欄でリストにない子を指定していると、許可されている子に置き換わります。スキルの冒頭の欄の指定は使われず、今の会話の子のまま動きます
  • 「指定したのにモデルが切り替わらない」というときは、これを疑ってみてください

考える深さ(エフォート)の段階と指定の仕方

同じ子でも、どれくらい深く考えるかを調整できます。番組では「考える深さ」と呼んでいて、英語ではエフォート(effort)といいます。

段階打つ名前中身
浅いlow簡単な作業を、速く・コストを抑えて
普通mediumHaiku 5.5・Sonnet 5.5・Opus 5.5 の最初の設定
深いhighより時間をかけて考える(それ以外のモデルの最初の設定)
もっと深いxhigh難しい作業向け
最大max一番深く考える。その会話の間だけ使われ、次の会話の最初の設定にはなりません

指示を打ち込む欄で打ちます。

/effort

つまみを左右に動かして選ぶ画面が出てくるので、そこで調整します。Enter で決めると次の会話からもその段階に、s で決めると今の会話だけその段階になります。

/effort high

のように、段階の名前まで打って直接変えることもできます。

  • 選べる段階は、モデルによって違います
  • 「物足りない」と思ったときは、上の子に変える手前に、考える深さを深くするという選択肢もあります

コストの仕組み(読んだ量と書いた量)

  • Claude Codeくんを使うときのコストは、使った量で決まります。使った量とは、Claude Codeくんが読んだ文章の量と、書いた文章の量のことです(専門用語では、入力トークンと出力トークン)
  • 第22回でお話ししたとおり、Claude Codeくんは返事をする前に、毎回ホワイトボードに書いてあることを全部読み直しています。その読み直す量も、使った量に入ります。同じところを読み直す分は、少し割安になる仕組み(キャッシュ)もありますが、それでも長い会話ほど、1回の返事ごとにたくさん読むことになります
  • モデルが上の子になるほど、同じ量を読み書きしても、1回あたりの単価が高くなります。上の子ほど・会話が長いほど、掛け算で効いてくる、という仕組みです
  • これは、契約しているプランの月額料金が変わる、という話ではありません。契約の形によって、効き方が違います
契約の形使った量が多いと
月額のプランPro・Max など月額料金は変わりませんが、そのプランでClaude Codeくんを使える量の上限に、早く届きます。上限には、モデル共通の枠と、モデルごとの枠があります
使った分だけ払う契約API・会社での利用などそのまま請求に響きます
  • 第6回の「1会話1テーマ」や、第23回の「圧縮」は、正確さを保つためだけの話ではなく、コストパフォーマンスを良くするための話でもありました
  • 細かい金額は変わっていくので、ここには載せていません。API で使っている場合は、/model の一覧に、それぞれのモデルの値段が表示されます

※ここに書いた仕様は 2026年10月10日時点の公式ドキュメント(2026年10月14日に再確認)に基づいています。Claude Code は更新が速いので、最新の情報は公式ドキュメントで確認してください。

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